よりかず式|凡人のためのSNSマーケティング実践録.66
2026/03/27
よりかず式|凡人のためのSNSマーケティング実践録.66
第66回:「競合に勝て」は間違い、9割がハマる“ゼロサム思考”の罠/文:よりかず先生
商売はゼロサムゲームだ」という誤解
起業や副業を意識し始めたとき、多くの人が最初に感じるのは「競合他社に勝たなければならない」というプレッシャー。
飲食店や美容室などのビジネスをイメージすると、客席の数には限りがあり、他の店に行った客はもう自分の店には来ないという考え。商売とはまるで「椅子取りゲーム」のように見える。
この感覚を経済学では「ゼロサムゲーム」と呼ぶ。ゼロサムゲームとは、誰かが得をすれば必ず誰かが損をするって構造。
けれど、「お金を得るためには、誰かからお金を奪わなければならない」という思考が根付いてしまうと、大きな落とし穴にはまってしまう。
「カネは天下の周りもの」が示す本質
昔から「カネは天下の周りもの」という言葉があります。
お金とは一か所に留まるものではなく、価値を持った人から人へと絶えず流れ続けるものだという意味。
この言葉が教えてくれるのは、ビジネスの本質はゼロサムではなく「価値の交換」だということ。
自分が相手に価値を提供し、相手もまた価値を提供してくれる。双方がお互いにとって「得をした」と感じるとき、お金はスムーズに流れます。
商店街をイメージすればわかりやすいですが、一本の通りにラーメン屋、カフェ、本屋、花屋が並んでいる。
ラーメン屋に来たお客さんが食後にカフェに立ち寄り、カフェの隣の本屋で雑誌を買い、帰り際に花屋で花を買って帰る。
それぞれの店は競合していると言えば競合していますが、商店街全体が賑わうことで、一軒一軒の売上も自然と上がっていきます。お金は「奪い合う」のではなく「巡っている」のです。
起業初心者の方が陥りやすいのは、「どうすれば競合より安くできるか」「どうすれば相手の顧客を引き抜けるか」という発想で戦略を立てること。
でも、本当の意味での起業・マーケティング戦略とは「自分がどんな価値を誰に提供できるか」を突き詰めることにあります。
Xで学んだ「競合は敵ではない」という気づき
僕がこの考え方の転換に気づかせてもらったのは、Xでの発信活動がきっかけでした。
起業・マーケティング系の情報発信を始めた当初、同じジャンルで発信しているアカウントはすべて「競合」だと思い込んでいた。
同じテーマで同じターゲットに向けて情報を発信しているのだから、フォロワーを奪い合っているはずと考えて、同ジャンルのアカウントとは一切交流しなかった。
ひたすら自分の投稿を繰り返す毎日。
しかし、フォロワーはまったく増えず、投稿のリーチもほとんど伸びなかった。
そんなとき、SNS運用に詳しい方からアドバイスをもらった。
「Xで伸びるには、同じジャンルの人たちと積極的に交流することが大事ですよ」って。
半信半疑ながら、起業やネット集客について発信している方々のポストにコメントを入れたり、共感できる投稿を引用リポストしたりするようにした。
すると、相手もこちらの投稿に反応してくれるようになり、その方のフォロワーがこちらを発見してくれるようになる。
ネット集客の観点から見ると、これはまさに商店街と同じような効果。
同じジャンルのアカウントが互いに交流し合うことで、そのジャンル全体のコミュニティが活性化し、関心を持つ新しいユーザーが流入してくる。結果として、フォロワーが着実に増えていった。
SNSの独立支援・起業系コミュニティでもよく言われることで、「同業者との交流会やイベントに参加せよ」という教えも、この考え方と同じです。
一人で孤立した状態で戦略を練るより、勉強会やオンラインのコミュニティで情報交換をした方が、知識も人脈も広がる。
お互いが成長し合う関係を築くことが、結果的に自分の成功につながっていく。
ビジネスだけじゃなく、私生活でも同じこと
この「ゼロサムではなく価値の循環」という考え方は、ビジネスや起業の場面だけに限りません。
私生活においても、「自分だけが得をしよう」「自分だけが幸せになろう」と思想では、人間関係はうまくいかない。
パートナーシップでも友人関係でも、一方だけが利益を得ようとする関係は長続きしない。
相手への価値提供を考えるからこそ、相手も自分に価値を返してくれる。これは商売の原理とまったく同じ構造。
脱サラして独立を目指す過程でも、副業から成功の足がかりをつかもうとしているときも、「自分だけが成功しよう」という思考ではなく「周りと一緒に盛り上がっていこう」という姿勢が、最終的には自分の挑戦を加速させてくれる。
「価値の提供」を起点に戦略を組み立てる
これらを踏まえて、具体的にどう考えればよいかというと、まず「自分は誰のどんな課題を解決できるか」を言語化することが出発点となる。
AIを活用したコンサル支援でも、オンラインマーケティングの育成サービスでも、コミュニティ運営でも、相手にとっての価値が明確でなければ、お金は流れてこない。
次に、「競合を意識しすぎない」ことが重要。同じジャンルで活動している人を「敵」ではなく「同志」として捉え、SNSでの交流や勉強会・イベントへの参加を通じて関係を築くこと。
コンサルタントやコーチ、マーケターとして独立支援の領域で活動する人たちが集まるオンラインコミュニティに参加し、相互に相談や情報交換ができる環境に身を置くことが、成長の加速につながる。
そして最後に、「他人に与える」という姿勢を持つこと。
SNSでの発信でも、交流会でも、勉強会でも、自分の知識や経験をまず惜しみなく提供する。
そこから信頼が生まれ、「この人に相談したい」「この人と一緒に仕事をしたい」という流れが自然に生まれてきます。
お金は「奪う」ものではなく「流れる」もの
ゼロサムゲーム的な思考、つまり「誰かが得をすれば誰かが損をする」という発想でビジネスを捉えると、必要以上に競合を警戒し、孤立し、消耗していく。
ビジネスの本質は「価値の循環」。自分が相手に価値を提供し、相手も自分に価値を返してくれる。
そのサイクルを大きくしていくことが、ビジネスでも私生活でもうまく回る状態を作り出す。
商店街の店主たちが協力して地域を盛り上げるように、起業・副業を目指す仲間たちと一緒にコミュニティを育てていく視点を持つこと。
それが、脱サラや独立への道をより確かなものにしてくれるはずです。