よりかず式|凡人のためのSNSマーケティング実践録.107
2026/05/09
よりかず式|凡人のためのSNSマーケティング実践録.107
第107回:AIの文章がつまらない理由、言っていいですか?/文:よりかず先生
AIが面白くない文章を出し続けるのはなぜか?
生成AIを使って資料を作ったり、文章を書いたりしたことがある人なら、「なんか、面白みがない」「どこかで読んだことある」って違和感、一度は感じたことがあるはず。
AIはたしかに賢くて便利。
起業や副業の戦略立案、ネット集客のアイデア出し、SNS投稿の下書き作成など、多くの場面で活躍してくれる。
でも、ここぞという場面になると、途端に頼りなくなりますよね。
プロンプトを工夫してやり直したり、「もっと面白く!」って頼んでも、同じようなトーンの文章が延々と返ってくる。
今回は、この違和感の正体を深掘りします。そして「なぜAIの文章は面白くないのか」について、お伝えします。
AIは「偏差値55〜60」のアウトプットが得意領域
少し分かりにくいかもしれませんが、AIが得意なのは偏差値55〜60くらいのアウトプット。
ちょっと賢い人が書くような、漏れがなく、正確で、自然な文章。
コンサル業務の資料整理や初稿の叩き台、勉強会のレジュメ作成といった用途なら十分に使えます。
でも、偏差値70を超える必要がある、人の心を動かす文章、思わず拡散したくなるSNS投稿、クライアントが「これ、私のことだ」と膝を打つような提案を作ろうとすると、AI単体では構造的に届かない壁がある。
僕は毎日のようにAIを使って文章や資料を作っています。
マーケティング戦略の壁打ち相手として、コンサルの準備資料の下書きとして、本当に重宝しています。
でも、SNS投稿など「自分の言葉で届けたい」と思う場面では、何度プロンプトを変えても「これ以上は面白くできない」というラインが、感覚的にも構造的にも分かってきました。
なぜ、そのラインが存在するのか。
答えは「人間が面白さを感じる仕組み」にあり、それを大きく3つにまとめてみました。
面白さの正体①予測とのずれ
人が面白いと感じるのは、予測がちょっとだけ裏切られたとき。
人の脳は常に「次に何が来るか」を先読みしながら情報を処理しています。
予測がぴったり当たると安心するけれど少しだけ外れると「なんで?」って興味が湧く。
落語のオチで「そう来たか!」と笑ったり、映画の伏線回収で「そこに繋がるのか」ってゾクッとしたり、本の一節で「その発想はなかった!」と唸ったりする感覚が、まさにそうです。
ところが生成AIのアウトプットは、この予測とのずれが構造的に生まれにくい。
なぜならAIは、膨大なデータの中から「最も自然で平均的な回答」を出すように設計されているから。
予測を裏切ることはノイズとして処理され、常に想定内の答えを返す仕組みなんです。
AIが書く文章が「正確だけどどこかで読んだ気がする」と感じる理由はコレ。
最もらしい正解を出すことと、驚きを生み出すことは、根本的に相反する。
起業初心者向けのオンラインマーケティング解説を書かせても、脱サラ経験者向けのSNS戦略を書かせても、出てくるのは「正しいけれど刺さらない」内容になりがちなのは、こういった構造だから。
面白さの正体②「自分のことだ」という瞬間(自己参照性)
面白い話が成立するのは、それが「自分事」になった瞬間。
情報を頭で整理して理解するのではなく、自分の経験や感情の記憶のネットワークがその情報によって刺激されるとき、人は一気に引き込まれる。
例えば、映画の登場人物に昔の自分を重ねて懐かしい気分になったり、誰かの失敗談を聞いて「自分にもあったな」って感じたり、社会問題を「自分の立場だったら」と考えたりすること。
これが自己参照性です。
AIも表面的には共感的な文章を書くことができるけれど、人と本質的に違うのは、AIには「身体」がないということ。
人間の共感は、頭で理解するものではなく、身体で起きるもの。
貰い泣きや貰いあくびを考えてみてください。
相手が涙をこらえているのを見て自分の胸がぎゅっと痛くなったり、誰かがあくびをした瞬間に自分もつられて口が開いてしまったり。
これは脳内のミラーニューロンが反応して起きる現象で、頭ではなく身体で起きている。
AIには痛みも、暑さ寒さも、緊張する感覚もないから、五感や身体感覚をくすぐるような表現が構造的に難しい。
「なんか響かない」って感じは、「身体に響いていない」からなんです。
独立支援やコンサルのコンテンツで「血が通っている」と感じる文章は、必ずそこに書き手の身体的なリアリティが宿っている。
面白さの正体③「成長している自分」を感じる体験(変化の知覚)
AIは過去のデータを時系列で処理することはできるけれど、過去・現在・未来を「経験の連続体」として扱うことはできない。
AIにとって時間は、データの処理順序や因果の並びにすぎない。
言うなれば、静止画を時系列に並べたパラパラ漫画のようなもの。
一方、人は時間の経過を主観的な変化として体験する。
背が伸びたこと、できなかったことが練習してできるようになったこと、太陽が昇って沈んで1日が終わること。
私たちは変化そのものを通して時間を知覚している。
面白いコンテンツやサービスが持つ力のひとつは、この「変化の体験」を読者やユーザーに届けること。
たとえばオンライン勉強会や育成プログラムで、完成した知識をそのまま渡すより、「理解に至るプロセスを見える化する」ほうが人の心を動かす。
完成品を「はい、どうぞ」と渡すのではなく、あえて未完の状態で渡し、ユーザーが手を加える余白を残すことで、主体的に変化を体験できる設計にしている。
起業初心者向けのコミュニティ運営や、副業からネット集客を始める方へのサポートにおいても、この変化の体験設計こそが、単なる情報提供との決定的な差になります。
AIがつまらない理由は、人間理解に行きつく
AIの文章がつまらない理由を突き詰めると、人間が何をどのように面白いと感じるかという問いに行き着く。
その答えは3つ「ずれ(予測の裏切り)」「身体(共感の根拠)」「変化(時間の体験)」です。
AIはマーケティング戦略の補助、SNSの初稿作成、勉強会の構成案などで強力な武器になるけれど、「人の心を動かす」という領域には、必ず人間の手が必要。
AIをうまく使いながらも、最後の一押しは自分の経験・感覚・身体感覚で仕上げる。
そのハイブリッドな使い方こそが、オンラインでの集客や起業・独立支援の現場で成果を出すための現実解だと感じています。